作り方
今回ご紹介する三品は、通常の献立以外の〝特別料理〟としてお出しして大変好評をいただいているものです。特別料理ですので、食材も贅沢に使用してありますが、時季のものや手頃なものに替えてやれば、日常のお料理として使うことが出来ると思います。
鮑の冷菜は、夏向きの涼しげな一品。皆さん鮑の柔らかさに驚かれて、大変喜んでいただけますね。
これは先附や進肴としてお出しします。北海道をイメージし、北の海の恵みをふんだんに組み入れています。鮑の美味しい煮汁までも充分に活かす為、淡雪仕立にしました。空気をよく入れて柔らかなムース状にするのがポイントです。このムース状の淡雪が食材を包み込み、北の海の恵みを満喫していただけると思いますよ。鮑をもどすには、たっぷりの水と酒、出汁昆布を加え、大きな鍋で三時間ほど、竹串がスッと通るまで煮ます。鮑の他、雲丹に蟹にと贅沢な食材を選びましたが、時季や予算に合わせて相性の良い食材を色々と組み合わせてみるといいでしょうね。
鮑をもどす
- 鮑はサッと立塩で洗う。鍋にたっぷりの水・酒を入れ、昆布・輪切り大根と共に2〜3時間煮たら、薄く塩味をつけ、一晩おく。
串がスッと通るまで煮ます。 - 鱈場蟹の殻を剥き、75℃程度に沸かした昆布水(塩味)にサッとくぐらせ、笊にあげて冷ましておく。
- 若布を昆布出汁で柔らかく焚いておく。
- 全てを見栄え良く盛りつけ、淡 雪ゼリーを載せ、花穂を散らす。

淡雪ゼリー
鮑、若布の煮汁を合わせてふやかしたゼラチンを加え、氷を当てて冷やしながら、よく泡立てる。
注意点としては、まだ熱いうちにしっかり撹拌すること。固まりきってから泡立ててしまうと“メレンゲ”ではなく、ただの“崩れたゼリー”になってしまいます。



岩根和史 氏
- ウェスティン東京・日本料理 舞
- 料理長
料理人からのコメント
たとえベテランの師匠でも、耳にしただけ、一見しただけでは調理方法がわからない料理がたくさんあります。そんな料理を手元写真を使って丁寧に解説していくのがプロの「この技!」。お客様をあっと驚かせることが出来れば、料理人冥利につきますね。